2008年8月11日(月)

 3時頃に起きだしました。山の朝は早く、そろそろ準備している人もいます。小屋の外に出て星空を見上げました。谷間なので、空の見える範囲は広くありませんが、それでもこぼれ落ちそうな星がきらめいています。こんな素晴らしい星空は都会では絶対に見られないでしょう。ちょうどペルセウス座流星群の季節です。極大は明日ですが、2分くらいの間に明るい流星が続けて2つ見えました(ちょうど息子も流星群のことを知っていて、小屋の窓から2つ見たと言っていました)。

1.小屋を暗いうちに出発

 まだあたりは少し暗い4:40に小屋を出発。最小限の荷物だけを持って山頂へのアタックです。頂上までの高低差が非常に大きく、相当きつい行程ですが、皆で頑張っていきましょう。


主要な荷物は小屋に置いて、必要なものだけを持ってあがります。非常食と水は必需品です。

靴紐をきちんと締め直すのは基本です。

いよいよ小屋を出発します。山頂までは5時間以上かかる予定です。

少し白み始めた空に、槍の穂先が浮かびます。今日も天気がよさそうです。

まだ、暗いので慎重に歩きましょう。

途中のキャンプ場(ババ平)付近を通るときには、すっかり明るくなっていました。

 

2.槍沢を遡る(さかのぼる)

 しばらくは槍沢に沿って登るため、急登のところはありません。朝から飛ばすと、疲れが早く来るので、皆にペースを落とすように指示しましたが、どうしても速足になっています。あせることはないのですから。
 山の稜線に日があたっています。谷間まで太陽の光が差し込んではきませんが、すっかり朝になっています。今日も天気がよさそうです。槍ヶ岳は見えませんが、やはり心が躍ります。


沢沿いの道を進んでいきます。

山の方は、日があたっています。

太陽が見えてきました。なぜか力が湧いてきます。

ペンキで矢印がある方が登山道です。先頭を歩く息子が導いてくれます。

だんだん登りがきつくなってきました。一歩一歩確実に登って行きましょう。

途中で一休み。ここで小屋で作ってもらったお弁当が朝ごはんです。サンマ缶も食べました。

これが小屋で作ってもらっていたバラ寿司です。一人分ですが、ボリュームがあるので、これを二人で分けました。

槍沢のグリーンベルト地帯です。これから、ぐんぐん高度を稼いでいきます。息子もいっぱしのアルピニストに見えますね。

天狗原への分岐点です。ここから左に行くと氷河公園に行くことができます。帰りに寄る予定にしていましたが、結局、行くのをやめました。

途中あった雪渓のトラバース。あんまりビビると滑落するよ。

 

3.槍が見えた

 急坂を登り切り、とうとう槍が見えるところまで来ました。三脚を立て、セルフタイマーで記念撮影をしました。この場所では、5年前に息子と来たときにも写真を撮っています。家族の歴史にもなります。


まだまだ先は長いです。ここから、まだ2時間はかかるでしょうか。

家族の記念撮影です。

息子も大きくなりました。

天気も最高!! (こちらは息子です)

またも小さな雪渓があります。

槍ヶ岳を開山した播隆上人が泊まったとされる坊主岩。

近くに見えるようですが、肩の小屋までは、まだまだ遠い。

登山道には、見失わないようにペンキで印があります。

岩がゴロゴロの道。まさに岩山です。


ヒュッテ大槍への分岐です。着実にピークに近づいています。


ヘリが小屋に荷物を運んでいます。まさか、後ほど、お世話になるとは・・・

ここは殺生ヒュッテ。肩の小屋よりは高度が低いところにありますが、ここまで来れば槍が岳はもう少し。

振り返れば常念岳が後ろにそびえています。この山容も美しいです。

肩の小屋への最後の登りです。この時、私はへとへとになっていました。後から考えると、すでに危険信号が出ていたと思われます。

 

.肩の小屋に到着

 肩の小屋(槍が岳山荘)直下の最後の登りは、本当につらいものでした。いつもなら、しんどいながらも足はゆっくり前に出ますが、この時だけは足が前に出ません。
 数歩歩くたびに、息はぜいぜいと切れ、目の前が真っ黒か真白になっています。酸欠か貧血状態でしょうか。景色が識別できません。いつもと何か違います。「お父さんはしんどいので、ここで残っているから自分たちで登ってきて・・」と冗談か本気かわからない弱音を私は口走るようになっていました。家族は笑いながら、「お父さんガンバレ・・」と励ましてくれます。皆に遅れて、なんとか肩の小屋にたどり着きました。笠ガ岳の写真を撮ろうと少し動きましたが、3000mの稜線です。空気が薄いせいか、やはり、ちょっと動くだけで息が切れます。


肩の小屋に遂に到着。

穂高方面を望みます。前穂の方が少し見えます。

登ってきた道。殺生ヒュッテがはるか下に見えます。

南米の空中都市「マチュピチュ」ではありません。肩の小屋近くのテント場です。

 大変な思いをして登ってきました。ここまで来たら気分的にはとても楽になりました。しかし、まだ山頂へのアタックが残っています。

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