2008年8月11日(月) Part3

 さあ、苦労して登ってきた道を下山します。

1.下りもきつかった・・

 登頂の喜びも醒めぬ間に下山にとりかかります。実は、登り以上に下りはつらいものがあります。重力に逆らい、自分の体重に支えながら歩くので、膝や足に相当負担がかかります。女房がつらそうでした。
 当初の予定では、登山道の途中から分岐して、少し登って氷河公園に行く予定にしていました。しかし、皆、相当参っており、また天気も悪くなりそうでしたので、結局行くのを断念しました。日頃鍛えてない者が、一日で高低差1350mを往復するのは、きつかったと反省しています。


走りながら下っていく人。なにかのレースのようでした。

僕には、そんな真似は出来ません。

お花畑。短い夏を謳歌するように可憐に咲き誇る花に心が和みます。

おどけたつもりで写真を撮りましたが、すでに疲れている様子がうかがえます。

登山道脇の水場です。冷たい水が、疲れた体には、とても美味しく感じられます。

氷河公園は、この方向にあります。メインの登山道を離れて、登る必要があります。

下りでも、休憩は必要です。体は相当参っています。

天狗原と書いてあるのが、氷河公園への道です。しかし、もうその気力が残されていません。
稜線も雲がかかってきました。

槍沢の大曲りまで来ました。小屋までは、あと1時間くらいでしょうか。以前、ヒュッテ大槍で発症したときは、ここに下ってきました。険しい道なので、一般的ではなくエスケープルートに使われます。

とうとう槍沢ロッヂまで戻ってきました。すでに疲労が極限まで来ていたのでしょうか。相当参っています。(こちらは父です)

 槍沢ロッヂに戻ってきたのが15:30。朝4:40に出発しましたから11時間も行動していたことになります。もうへとへとです。なんだか調子もおかしく、呼吸がしづらかったのですが、小屋のお風呂に行きました。湯船に浸かって部屋に戻ると、体がとても熱っぽい感じがし、いつのまにか布団の上でうたた寝をしていました。この日の部屋は、昨夜と違い、8人用の畳の部屋で、京都から来たという3人組と一緒でしたので余裕がありました。いろいろ話をしているうちに体が少し楽になってきたような気がしてきました。しかし、しばらくして急に体がだるくなり、咳きこみ始めました。体温計を小屋に借りて測ると37.9℃です。
 その夜には咳が止まらなくなりました。他の人に迷惑をかけてはいけないので、1Fロビーの机で座っていました。体を横にすると、呼吸時にゴボゴボという音が気管支から肺のあたりでします。苦しくて眠れません。時計を見ても、時間が少しも進みません。朝までその状態で待ちましたが、夜が明けるまで、まさに地獄のような思いで過ごしました。大変なことが起きていると認識はできていますが、朝になれば、なんとか体を動かして下山できるという気持ちが唯一の心の支えでした。

 

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