サントリーウィスキー工場(山崎蒸留所)

1923年に寿屋(のちのサントリー)の創業者の鳥井信治郎が、この地で日本初の蒸留所を開設
しました。とても環境のよいところで、春の陽気を感じさせる中、とても気持ちよく過ごすことが
できました。多くの人が工場見学に来ていましたが、幸いなことに30分後のコースに滑り込む
ことができました。休日は予約していく方がよいかもしれません。
ところで、サントリーという会社の名前の由来は、赤玉ポートワインの赤玉すなわち太陽(サン)に
自分の鳥井(トリイ)をつけて名づけられたそうです。

サントリー山崎蒸留所のHPはこちらです。


JRや阪急電鉄、新幹線からもよく見えます
すぐ近くのJR沿線では、テツ(撮りテツ)が電車
にカメラを向けていました。


天王山のふもと、自然の中にある美しい工場です。
まさに、日本のウィスキーのふるさとといえる景色です。
(ウィスキー館)

ここから見学ツアーに出発です。
いろんな懐かしい資料やCM映像に出会うことが
でき、しばし昔にタイムスリップ。
大原麗子の「少しだけ愛して、長く愛して」などが
ありましたが、なんと言っても、ダバダバ、ダバダ・・
の音楽が流れる中で、子犬が雨の中走っているCM
が最高。(たぶん、私が小学生か中学生の頃?)

見学後、大変高価なウィスキーを有料ですがテイス
ティングしました。(響21年です)

(発売初期の頃のオールド)

ウィスキー館の中の展示品です。

オールドは、私が学生の頃、ダルマと呼んでいました。
発売当初からデザインはあまり変わっていません。

また、学生の頃によく飲んだホワイトの発売初期の
ボトルもありましたが、白札というネーミングでした。
(白札が国産第1号のウィスキーです)

(いろんなロット)

ラベルには製造日時や製造番号が印字してありました。
まさに参考保存品の陳列といったところです。

それぞれ、少しずつ色が異なっており、ロット毎の個性
を感じた次第です。

  (たくさんのボトルが並んでいました)

こちらは製品ですね。いろんな種類があります。
実は私はビール党なのですが、学生のときは
ウィスキーや焼酎をよく飲んでいました。

濃いお酒をグイっと飲むのも好きです。こういう人
は食道がんになりやすいですね。

(ウィスキー館2F)

う〜ん、歴史を感じます。

私よりずっと上のジェネレーション。

(仕込み)

いよいよ工場の中を見学します。麦芽は細かく砕かれ、
仕込み槽の中で、でんぷんが糖分に変化します。

そして仕込まれる山崎の名水が、おいしいウィスキー
の源といえるでしょう。
  (マザーウォーターと言うそうです)

(醗酵槽)

麦汁に酵母が加えられ、醗酵が行われます。CO2と
アルコールに変化します。
見学者通路にはお酒好きの人にとっては、なんとも
いえない香りが漂っています。

写真は木桶槽ですがステンレス製のものもあるよう
です。このような木桶槽には自然の乳酸菌などが
すみついて味わいを出しているようです。

上部のモーターで撹拌するのでしょうね。モーターは
大きくないので、きっと液の粘性は低いのでしょう。

(蒸留釜)

醗酵後、蒸留工程になります。

蒸留はポットスチルと呼ばれる釜で行われます。
マンホールが開けられ、スチームが出ていました。
ロットの切り替の洗浄なのでしょうか。

蒸留は2回行われます。減圧ではなく常圧での蒸留の
ようです。この操作は非常には興味があります。
ここであまり詳しく質問すると嫌がられるので、おとな
しくしていました。装置には流量計などのセンサーが
取り付けられ、別の部屋にはDCSが置かれているよう
でした。熱源は、炎を直接あてる直火蒸留と蒸気を
使った間接蒸留があるそうで、それぞれ味わいに違い
がでてくるということです。前者は力強いタイプだそうで
すが、きっと高沸点の成分も留去されてくるのでしょう。

(いろんな形状をしています)

化学工学の観点から言うと、単蒸留ですので理論段数
は1ということになるでしょうか。ただし、釜のヘッドの
形状は「ストレートヘッド」「バルジ」「ランタンヘッド」
の3種類があるので、蒸留塔内部で還流による精留
効果が働き(すなわち理論段数は1より上)、成分に
微妙な違いがでてくるのでしょう。このことがウィスキー
に個性を持たせるのだと思います。

ここで得られた蒸留品はニューポットと呼ばれ、アル
コール分が70%くらいとの説明がありました。サンプル
をにおってみましたが、麦焼酎のような香りがしました。

(樽詰機)

蒸留された原酒は樽に詰められますが、その機械
です。見学時には動いていませんでしたが、これも
興味のあるところです。

(樽詰めがウィスキーの味わいを作ります)

蒸留した後のニューポット(原酒)は無色透明ですが、
内側を焼かれた樽に詰めることによって、木から成分
が抽出され着色します。左が12年、右が4年ものです。
写真の関係で濃く写っていますが、実際は、琥珀色
です。まさにこの過程でウィスキーが熟成されていく
のです。
この貯蔵がウィスキーの品質、味わいの決め手になり
ます。
樽は何度か使われるのですが、新樽は木香が強いため
熟成も速く、2、3回使うほどに樽は慣れて木香が上品に
なり、長期熟成モルトに最適な樽になるそうです。
う〜ん。奥が深いなあ。

(貯蔵樽が静かに眠っています)

樽の大きさは5種類あり、樽材もいろいろあります。
日本産のオーク(ミズナラ)には伽羅(きゃら)の香り
がするオリエンタルな味になるそうです。シェリー樽
は色が濃く、深みのある味になるとのことです。

とくに湿度や温度の管理はされていません。保管する
場所によって温度条件が異なることから、同じものが
できないそうで、仕事柄、品質管理の難しさの苦労が
目に浮かびます。

樽の大きさも熟成速度に関係しており、小さな樽では
仕込み量に対する樽の接触面積が大きいので、熟成
がはやく進むという話も聞きました。(スケールアップ
理論にも通じる話で、納得してしまいます)

(私と同い年)

私が生まれた年の樽を見つけました(歳はバレて
しまいます)。なにやら愛着すら感じます。
どんなお酒になっていることやら。
(きっと、苦みばしった大人のテイスト?!)

樽毎に熟成が異なっていますので、それを組み合わ
せて同じような品質、グレードのウィスキーを作る
ブレンダーは、まさに職人といえます。そんな仕事に
あこがれます。(私のような平凡な味覚ではダメです
ね)

(工場裏の山の竹林から)

このあたりの島本町(水無瀬)は、大阪府内で唯一、
日本名水百選に選ばれたところです。この山崎の
湧き水があるからこそ、こういった美味しいウィスキー
が生まれたのに違いありません。

名水百選で思い出すのは北海道の利尻山にある
甘露泉水。2回登山したことがありますが、この水は
その名のとおり、甘く感じ、まさに癒しの水でもありま
した。山口では秋芳町の別府弁天池の水もよかった
です。夏休み、子供たちが来たときに、近くの釣堀で
鱒を釣って、そのまま料理をしてもらいました。
秋芳梨は、カルシウム分を含んだ地下水のおかげで
あんなに甘くなります。
(いつか名水百選を巡りたいな・・・)

(いよいよお楽しみの試飲です)

実はこれがお目当てです。
無料で高級ウィスキーの「山崎」が飲めます。

この名前は地名が由来です。

(まずは山崎の名水で味覚をリセット)

各自、山崎の名水を片手に取ってからウィスキーを
受け取ります。このマザーウォーターを一口飲んで
から、ウィスキー「山崎」を楽しみます。

気を鎮めて落ち着いて飲みましょう。

(ウィスキーの美味しい飲み方のレクチャー)

香り、色、味を楽しみます。

もちろん、サントリーさんの宣伝も忘れていませんね。

おかわりができましたので、私は水割り1杯にロック
を2杯いただきました。
1時間歩いた後、しかも空きっ腹に急いで飲んだので
すっかり酔いが回ってしまいました。

なんか優雅で素敵なひとときを過ごしました。
案内のおねえさん、ありがとう。

(見学後に有料でテイスティングしました)

せっかくなので、有料のテイスティングをしました。
山崎でも高級ですが、最高級の響(ひびき)を
味わうことにしました。

響は、山崎蒸留所が世界に誇る名酒です。21年は
ワールド・ベスト・ブレンティッドウィスキーの金賞を
2004、2005、2006年度受賞しています。
なお響の30年は最高賞を2年連続で受賞しています。

(響(ひびき)21年)

飲んだのは響の21年ですが、これだけで500円です。
しかし、ボトルですと、定価2万円もします。

女房と二人で、これを分け合いながら飲みましたが
なんともいえないマイルドでコクのある味で、普段
ウィスキーを飲まない女房も感嘆していました。

(30年はボトル一本10万円で、テイスティングでも
この量で2000円します。いつかは飲んでみたいです。)

響のオンラインショッピング

(感想)

ウィスキー製造工程の見学ができてよかったです。工場の技術の高さが随所で見られて
参考になりました。無料試飲の山崎、そして有料でしたが響(ひびき)も楽しめました。

サントリーさん、ありがとう。

 

遂に念願の響き30年をテイスティング

2008年7月12日、会社の人と一緒に再度工場見学に出かけました。
前回、響き21年を飲みましたが、後から考えると、響き30年も記念に飲んだら
よかったと後悔しており、再び訪れました。


左が響きの21年、ボトル一本21,000円です(飲み屋の値段でなく原価です)。
右が響きの30年、なんと、これ一本で105,000円です。たぶん日本で最高級のウィスキー
でしょう。これらの有料テイスティングをしました。


遂に念願の響き30年(写真左)のテイスティングです。香り、味とも素晴らしかったです。
響き30年は、この量で2000円です。(響き21年は、この量で500円)

まったくもって、幸せな気分になりました。

 

そして再び訪問(またもや響き30年を・・

またまた会社の人と2008年11月29日に訪れました。紅葉が美しかったです。今回も
新しい発見がありました。ROYALのキャップは鳥井信次郎が工場に隣接する椎尾神社の
鳥居(トリイ)に桜が舞い降りるイメージから思いついたそうです。う〜ん、この話、
どこかで誰かにこの話を披露しようっと。


紅葉の真っ最中でした。

一番古い樽です。No.0001がついています。
1923か1924だったと思います。すでに85年以上経っています。

これが椎尾神社の鳥居(奈良時代に建立された由緒ある神社です)

これがROYAL。なるほど。

そしてお待ちかねのテイスティング。
今回は3人で行ったので響きの17年、21年、30年を試しました。男同士で回し飲みですが
それぞれの違いを確認することができました。ウィスキーの奥深さを感じた次第です。


テイスティング(この量で左から2000円、500円、200円)
たぶんショトバーで飲めば、この4、5倍の値段はするでしょう。

あぁ、至福の時です・・・

 

引き続きサントリービール工場見学へ