有馬温泉の名を知らない人はおそらくいないであろう。しかし、六甲山の北側にあり、昔は行くのに苦労したに違いない。神戸方面からは険しい六甲山が行く手を阻んでいる。その有馬温泉に神戸の魚崎から新鮮な魚を運ぶルートがあった。その道は魚屋道(おととみち)と呼ばれ、現在はハイキングコースとして整備されている。前々から行きたいと思っていたが、このたび女房と二人で挑戦することにした。六甲山は900mを越える山なので、神戸からは正味900m以上登らないといけない。これは上高地から涸沢までの標高差に匹敵する。
JR甲南山手駅を9:50出発。少し西に歩いて魚屋道を行く。稲荷神社、甲南女子大学横を通り、登山口まで到着。さすが神戸である。ここまででけっこう坂道がきつかった。登山道に入るが、道はよく整備されていた。しかし10分ほど歩いて急な坂道を登っている時、右前方で異様な音がした。一瞬足が止まった。10mほど向こうだろうか、斜面に大きなイノシシがいる。ウリ坊でなく体長は1m以上はあるであろう。最近、六甲山でイノシシに襲われて登山者が死亡したことを思い出した。さすがに恐ろしくて写真を撮ることができず、知らないふりをしながら、そっとその場所から離れた。心臓バクバクの状態である。
蛙岩を過ぎ、尾根沿いを歩くと風吹岩に出た。ここで芦屋ロックガーデンからの登山道と合流する。さすがに多くの人であふれていた。ここから遠くに大阪方面が望めるはずであるが、天気が薄曇りであり、霞んでいたのが少し残念であった。しかし、かなり登ってきたのが実感できる。しばらくはきつい登りはなかったが、本庄橋跡を通り過ぎたあたりから七曲と呼ばれる急登が始まり、バテバテになりながら、登りきって、ようやく一軒茶屋に着いた。昔は旅人が一服する茶屋があったのだろうが、今は六甲山の山上道路が走っており、小さなドライブインといった感じである。
![]() 本当は海から歩きたかったところであるが、今回はJR甲南山手駅を出発地点とした |
![]() 道標にも魚屋道と記してある |
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![]() 蛙岩、カエルに見えなくはないが・・・ |
![]() 出会ってしまいました。恐怖でした。 |
![]() 風吹岩。阪神大震災で上部が一部崩壊。 |
![]() 天気がよければ大阪方面の景色がよく見えたのだが・・ |
![]() 自転車で登っている人あり。 |
![]() 多くのハイカーで混雑。さすが神戸、ハイカラな山ガールが多数出現 |
![]() 石でできた橋を渡る。大雨の時は通行止め? |
![]() 本庄橋跡、昔は石橋があった。 |
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![]() 七曲の急登 |
![]() ようやく一軒茶屋に到着 |
歩き始めて3時間、ようやく稜線に着いた。コンビニで買ったお弁当を食べる。ここから下山してもよかったが、あと300mほど行くと六甲最高峰があるので、そちらにも行くことにした。天気がよければ神戸、大阪方面が望めるが、天気が良くなく、一部がガスっている。とりあえず写真を撮ってから下山。ここからは50分ほどで有馬温泉に着くはずであったが、ゆっくり歩いたので1時間20分ほどかかってしまった。道はよく整備されており、秋にまた歩いてみたいと思った。かつては籠をかついで通ったようで、歴史も感じられた。
![]() 神戸はこの方面 |
![]() クマ笹の生い茂る道 |
![]() 六甲山最高峰(931m) |
![]() 有馬温泉への下山道にあった立派な休憩所 |
![]() よく整備された道を行く。 |
![]() 有馬温泉からの登山口(すなわち終点) |
13kmくらいは歩いただろうか。さすがに有馬温泉に着いた時には疲れ切っていた。昔の人は、重い荷物を担いでこの道を駆け抜けたのだろう。有馬温泉は神代の昔から知られ、日本三古湯、枕草子の三名泉、江戸時代の温泉番付けでは西の横綱に格付けされている。豊臣秀吉も何度も訪れている。
せっかくなので、温泉に入ることにした。ホテルの外湯は2〜3000円近く取られるので、金泉、銀泉として知られている公衆浴場に行くことにした。女房は金泉に行ったことがあるというので、今回は銀泉(銀の湯)に入ることにした。入湯料は550円であるが、きれいな浴場で、山歩きの疲れをここでゆっくり取ったことは言うまでもない。お湯の中で足を伸ばすと、とても心地が良かった。また、秋の紅葉のシーズンに来てみたいものである。
![]() 有馬温泉街に下っていく。 |
![]() 炭酸泉、昔は毒水とされていたこともあった。 |
![]() 炭酸泉には感激! シュワシュワとした、まさに甘みのないサイダー |
![]() 銀の湯(銀泉) |
![]() 550円とリーゾナブルな入湯料 |
![]() ハイカーでにぎわっていた。 |
![]() いたるところにある源泉、蒸気を出している。 |
![]() バスターミナル付近ではお姉さんが猿回しで観客を沸かしていた。 |
(山行記録)
2011年6月5日 9:50 JR甲南山手駅発 10:10
登山口 10:20 イノシシと遭遇 10:30 蛙岩
10:55 風吹岩 12:05
旧本庄橋跡 12:50 一軒茶屋 12:55 昼食
13:20 六甲最高峰(931m) 13:30
下山口 14:50 有馬温泉 (5時間)